知財自在

全ての知財部員の抱える課題の解決、知財部員向けのお役立ち情報を提供するブログです

コロナ禍で業績が悪化しそうな企業の知財部員がやっておくべきこと

 みなさん、こんにちは。

 私は、業績悪化で数回にわたり早期退職募集があった企業で勤務していた弁理士です。

 

 ようやく全国で緊急事態宣言が解除されるなど、明るい兆しも見えてきました。一方で、「これからコロナ不況が始まる!」「40代・50代のリストラ不可避」など、景気・雇用情勢の厳しい見通しが紙面を賑わす日も少なくありません。

 実際にどの程度深刻な状況になるのかは分かりませんが、主だったエコノミストらの予測を見ても、今年度は業績が悪化する企業が多くなるのは間違いなさそうです。

 幸いなことに、現在私が勤務する会社で今期業績が悪化しているという話は聞こえてきません。しかしこのご時世、今後、前の会社のように突然、人員削減する、となる可能性も無いとは言えません。

 そこで本日は、私の過去の経験から、企業の業績が悪化した場合、知財部が直面すると思われる状況と、それを見越して知財部員がやっておくべきことについて、述べていきたいと思います。

 

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 知財部員として今からやっておきたい行動は次の3つです。

 

1.発明者との関係を強化しておく

2.他メンバーの業務内容を把握しておく

3.グループの中で浮かないようにしておく

 

 以下にその詳細を説明していきます。

1.発明者との関係を強化しておく

 実際に企業の業績が悪化してくると、知財部のような、すぐに売上・利益に直結しない業務(他社からお金を取れそうなライセンス業務は別)を主とする部署、いわゆる間接部門には、即座にコスト削減の圧力がかかります。

 具体的には、前年度と比べて減らされた予算で年度をスタートし、かつ途中で一律何%か(場合によっては何割)の更なる予算カットを迫られるなどが予想されます。

 そうなると当然、知財部としては、費用のかかる外国出願をはじめとする出願・審査請求件数の抑制、維持年金削減を目的とした既登録案件の放棄などの動きをかけざるを得なくなります。その結果、知財担当者の日常業務は、いかにして自社事業を守る、あるいは他社に権利行使できる特許を発明者と作っていくかという前向きの仕事から、どの発明案を却下するか、どの登録特許を放棄するか、というような後ろ向きの仕事にシフトしていきます。

 これはさらにどんな結果を生むでしょうか?

 企業知財部で経験のある方はわかると思いますが、当然、発明者から猛反発を食らうわけです。「なぜ俺のが放棄で、あいつのはOKなんだ?」このような問いかけに、苦しいながらも答えつつ、わずかに残った要出願案件については、当該発明者とともに権利化を進めなければなりません。

 このように、発明者に嫌なこと(自分の案件放棄など)を伝えながら、一方では発明者をその気にさせ、別案件の権利化のモチベーションを上げる、というような離れ業を成し遂げるには、普段からの発明者との良好な関係構築が不可欠です。もちろん、これらは一朝一夕にはできません。常日頃から知財担当者が提供する情報が役に立ってる、あるいは自分の発明案を大事に扱ってくれてる、などと思わせなければ、こちらが苦しい時も協力はしてくれないのです。

 よってコロナ不況がまだ表面化していない今から、前の記事(研究・開発経験のある知財部員が意識していること - 知財自在)でも書いたように、知財部員も調査などで手を動かす、発明者が出してきた進歩性が苦しい発明案をブラッシュアップして出願できる状況にもっていく、など発明者との関係を強化する行動をとる必要があります。

 

2.他メンバーの業務内容を把握しておく

 知財業界では、平時でも一定数、知財部間、あるいは知財部から事務所、またその逆などの人の移動が起こっています。

 このような人の動きは、当然、不況になるとより活発になってきます。年齢が若い方が転職には有利であるため、会社の業績が傾き出すと特に若手の知財部員から転職者が続出し、ひどい場合には毎月のように送別会が開かれるという場合もあります。その結果、別の担当者のややこしそうな案件で、自分には関係ないと思っていたものでも、当該担当者が転職することで、突然、自分が引き継がざるを得なくなる、なども起こり得ます。

 よって、業績が悪化しそうな企業の知財部員は、できるだけ周囲のメンバーの業務も把握するべきなのです。揉め事が多い発明者の案件などはうまく避け、ライセンス活用候補になっているなどキャリアアップに繋がりそうな案件は、むしろ自分が後任になれるよう、オフに勉強したり、当該案件の発明者と仲良くするなど、先回りしておくことをお勧めします。

 ベタな話ですが、海外に憧れがあった私は、通勤時や週末に英語の勉強を続けると同時に、普段から海外企業とのライセンス担当者と定期的に情報交換したり、ライセンス料率の算出方法を示した判例を読み込むなど、関連知識のインプットに努めながら、週報などアピールできそうな場で、自分がライセンス業務にも関心があり、そのための努力をしていることを匂わせていました。

 その甲斐あってと断言はできませんが、結果として前職の経営危機時には、退職ラッシュに基づく業務担当者の変更時に、希望していた海外出張を伴うライセンス業務に就くことができました。

 このようなチャンスを得るためにも、部全体の業務内容、その担当者の情報を事前に把握しておく必要があります。

 

3. グループの中で浮かないようにしておく

 いよいよ業績悪化が現実のものになり、早期退職募集などリストラが始まった場合、自分が40歳以上なら、面談に呼ばれることを覚悟すべきです。自分の会社は日本的な会社だからとか、経営者は普段からリストラしないと言っている、などは非常時には一切アテにならないと覚えておくべきです。

 事実、私が以前に在籍した会社では、社長が「うちはリストラしない」と全員の前で断言したにもかかわらず、半年もすると「断腸の思いで、早期退職募集を決断しました」にすり替わったものでした。

 では、実際に早期退職募集が始まり、肩を叩かれる知財部員とはどんな人でしょうか。特に若手社員に多く見られる間違った認識は、実力がない人、出来が悪い人がリストラされる、というものです。

 確かに圧倒的に実力がある人が首を切られることはほぼありません。しかし自分も含む、多くの知財部員は特別に優秀な知財部員ではなく、その他大勢の知財部員なのです。つまり自分では、この集団の中では俺は実力があると思っていても、それはせいぜい自分の経験してきた範囲では多少、他の人より知識があるという程度のものです。一方、冷静に考えてみると、会社にとって価値がある経験・知識で、他の人は持っているのに、自分には無いものも多くあるはずです。

 よって自分は実力のある社員であり、それのみでリストラを乗り切っていけるなどという考えは、自分に甘い思い込みに過ぎません(ただし多くの日本企業ではまだ年功が残っているので、若いから大丈夫、というのは正しい認識と思います)。繰り返しになりますが、実際には多くの知財部員の実力にはそれほど差はなく、それによって辞めてもらう人を選別する、などと言うのは現実的ではないのです。

 もしそうならば、一体何でリストラ候補が決まるのでしょうか。前の会社での経験からすると、意外にも、それは浮いているかどうか、なのです。もっと言うと、特許法や知財実務知識は相当のものを持っている人でも、普段から言動が個性的で、みんなが正しいと信じている意見と異なる考えを持っていたり、周囲を気にせず普段からそれを吹聴しているような人、は狙われやすいのです。

 このような周囲からの印象も、リストラが始まった後になっていきなり変えることはできません。よって知財部員は普段から、浮いた言動、周囲から危なっかしいと思われる行動は差し控える必要があります。

 

 世の中では、リストラがあると多くの会社員の雇用が危機に直面するかのように伝えられることがあります。しかし実際にリストラされる人はやはり全体の中で少数ですし、本当の意味で生活が成り立たなくなるなど、窮地に陥る人はさらに少ない人数と思われます。

 とは言うものの、必ず一定数、そのような人が出てしまうのも事実です。

 今回の記事が、コロナ禍で業績が悪化しそうな企業の知財部員の社内サバイバルの一助になれば幸いです。

 改めて、以下の点を意識してみて下さい。

 

<本日のまとめ>

1.発明者との関係を強化しておく

2.他メンバーの業務内容を把握しておく

3.グループの中で浮かないようにしておく

 

 本日は以上です。

 最後までお付き合い頂きありがとうございました。 

 

知財業務を希望する理工系新入社員が配属希望欄に書くべきこと

 皆さん、こんにちは。

 私は、通算でメーカーに約22年勤務の弁理士です。

 

 最近は、大学でも理工系の学生向けに知的財産関連の講義があるなど、世間一般的に知財に対する意識が高まってきたと感じています。そのせいか、新卒で知財業務を希望する若者も出始めており、知財部員としては嬉しい限りです。

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 一方、これまで知財部門は、主に研究開発部門からの異動で人員を賄っており、新卒の配属先としてはまだまだマイナーな部門であると思います。

 昨今、リストラなど将来に対する不安への備えとして、専門性を磨くことの重要性が盛んに喧伝されています。よってコアスキル早期形成の観点から、知財業務を希望する新人の方の多くが、配属希望欄に「知財部」と迷わず記載するかもしれません。

 しかし、実はこれは適切ではありません。

 私の20年以上のメーカー勤務の経験からすると、知財業務を希望する新入社員は、最初から知財部に行くべきではなく、研究開発や事業部の技術を希望し、そこで5、6年勤務後、知財部に異動するべきなのです。

 

 この理由は以下の3つです。

1.技術スキルを身につけやすい

2.社内で潰しがききやすい

3.発明者の立場が理解できる

 

 順番に詳細を説明していきます。

1.技術スキルを身につけやすい

 他の記事でも書きましたが、知財業務においてコアになるスキルは特許法や出願の実務知識など知財系スキルと、担当する技術分野の技術スキルです。前者は知財部門に行ってからも身につけることができますが、後者を後から身につけるのはかなり大変です。

 研究開発業務や事業部の技術担当を5、6年経験すると、当該担当した技術については一定の専門知識、業界知識を身につけられると思います。このような知識が知財部に異動した後も活きてくるのです。

 これは、事務所や調査会社などの知財サービス会社でも同じと推定します。つまり知財業務については入ってからいくらでも指導できます。しかし技術知識については深い経験を積ませることはできません。よってこれらを持った状態で入ってきて欲しい、事務所等のマネジメント層はそのように考えているのではないでしょうか。

 事実、ある事務所のメンバー紹介を見ていますと、結構な年齢まで大学等で研究者であった人を新規に採用したことが読み取れて驚いたことがあります。最近は大学にも知財担当を置くなど、大学教員も知財を意識しながら研究活動をしてきたと思われるので、その人の知財経験も相当なものであったのかもしれません。とは言え、こうまでして技術知識のある人が欲しいのか、と改めて研究開発経験の価値を認識したものでした。

 

2.社内で潰しがききやすい

 入社して実際に働き出すと、思い描いていた業務と違ってた、やっぱり別の部署に行きたいと思うようになった、こんな経験は誰もが持っていると思います。よって、知財業務が面白そうだと感じて希望通り知財部に配属になった新人が、やはり自分の理工系のバックグラウンドが活きるのはここ(知財部)ではない!などと思い直した、というのは十分あり得ることです。

 このように入社時の配属部署から別の部署に自分の希望で異動したくなった場合、研究開発や技術業務の方が、理工系の職種に広く移ることが可能で、場合によっては営業など文系職種でも歓迎され得ます。また入社後、色々な部署の様子を見たが、結局、入社時に思ってた通り、知財業務に就きたいと思った場合でも、このような職種からであれば社内で異動可能です。

 また転職の場合も、いきなり他社の知財部はさすがに難しいですが、事務所であれば転職できますし(もちろん年齢など他の制約はあると思われますが)、事務所で経験を積んだ後、企業知財部にさらに転職する道もあります。

 

3.発明者の立場が理解できる

 以前から強調している話ですが、これは本当に重要です。研究開発部門や技術部の人間が普段どんな業務を行なっているのか、その中で知財業務にかける時間はどのくらいか、どのような心持ちで知財部員と接しているか、これらは全て知財業務を円滑に行う上で重要、かつ経験しないとわかりません。

 1.では研究開発部門や技術部を先に経験しておくと技術スキルが身につくことがメリットと書きましたが、こちらの内容の方が本当は決定的かもしれません。知財部員が発明者と揉めているという状況は社内でよく見聞きします。その多くが、発明者の立場を理解せず、知財担当者が不用意な発言をしたことに端を発しているように見えます。

 発明者として自分が発案する側であったという経験は、出てきた案に対して謙虚であるべき、あるいは発明発掘や中間処理などでは自分も何らかの案や労力を提供しなければ価値にならない、など自らの立ち位置を知財部員に自然に理解させ、発明者とのコミュニケーション向上に貢献します。

 

<本日のまとめ>

 新卒のタイミングは、まだどんな部署にも配属され得る、キャリア上最も自由度が高い貴重な時期です。30代半ばを超え、若手というブランドが失くなった後では、なかなかこうは行きません。

 そのような重要な時期の配属先希望欄に、知財業務を希望する理工系新入社員はどう書けばいいのか、オススメは研究開発、もしくは事業部の技術です。

 

 それは以下の理由によります。

1.技術スキルを身につけやすい

2.社内で潰しがききやすい

3.発明者の立場が理解できる

 

 知財業務を希望する新卒の皆さんの今後のキャリアが充実したものになる一助になればと思います。

 本日は以上です。

メンバーのモチベーションを上げるために、知財部 管理職が語るべきこと

 知財部員の皆さん、こんにちは。

 私は、知財部で管理職歴3.5年の弁理士です。

 

 知財部で、一定期間マネジメントに従事すると、以下のような悩みを口にする社員が必ず出てきます。

「研究者が、非協力的で、僕らの業務が軽んじられてるようで・・・」

「他部署で働く同期に、特許なんて役に立ってるのか、と言われました」

 

 こんな時、マネージャーの立場としてはもちろん、「自信を持て!、我々の業務は、事業にこれだけ役に立っている」と、メンバーを鼓舞したいところです。

 一方、知財業務は、もしかの時の保険のような側面もあり、普段の業務は極めて地味なので、メンバーの士気を上げるためのエピソードなんて社内にはそうそうないし、どうすればいいのか?、そんな思いを抱いている知財部 管理職の方も多いのではないでしょうか?

 

 そこで今回は、周囲の部署からの冷ややかな反応をものともせず、知財部員にイキイキと仕事に取り組ませたい、モチベーションを上げたい、そんな時、知財部 管理職やリーダーがメンバーに語りかけるべき内容を提示したいと思います。

 

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 具体的には、以下の2つがあります。

 

1.特許がお金になることがある

2.特許による参入障壁で自社事業を守れている可能性がある

 

 順番に詳細を説明していきます。

 

1.特許がお金になることがある

 過去の記事でも書きましたが(知財部員の社内での地位向上 - 知財自在)、知財部は社内でその存在意義に疑問を呈されやすく、ともすれば冷ややかな目で見られがちです。その状況を打破するには、会社の利益に直接貢献する、すなわち単に特許を取るのみで終わらせず、ライセンスや特許権の売却など当該権利を活用することが重要です。

 これは最近の知財部ではどこでも言われていることと思います。よって社内にこのような例があり、かつそれを話せる状況であれば、社内でこんなライセンスに活用された、というエピソードをメンバーに紹介すればいいと思います。

 もしそのようなエピソードがなければ、以下のグーグルによるモトローラモビリティ買収の話はオススメです。

グーグルのモトローラ買収&売却をめぐる損得の皮算用 - ZDNet Japan

グーグルのモトローラ買収、目的は特許18件の獲得か--米報道 - CNET Japan

 上の記事にあるように、グーグルの自己申告の通り、モトローラモビリティの買収で得た特許の価値を55億ドル、買収の結果グーグルが取得した特許約2万4千5百件(2つの記事から、登録済特許約1万7千件、出願中のもの約7千5百件と思われるので、これらの合計をグーグルが取得した特許とした)を1ドル≒100円で計算すると、当該グーグルが取得した特許は1件あたり約2245万円となることが分かります。通常米国出願であれば1件あたりの権利取得・維持費用が200万〜300万くらいと思いますので、これを基準にすると、ざっくり7倍〜11倍くらいの値段がついたということです。

 多くの企業が、特許を十分活かしているとは言い難い状況ながら、多額の知財予算を確保して権利化を進めているのは、上記のように稀ではあるものの大きく化けることがある、という点が理由の1つではないでしょうか?

 もちろんこの例は、通信規格関連という最も権利活用が進んでいる、ある意味で特許活用の極北のような話なのでこんな値段がついている、というのはありますが、年単位の時間をかけて、研究者・知財担当者が苦労して取得した特許が7倍〜11倍の値段になる可能性がある、というのは何とも夢のある話だと思います。

 1社目の知財部で権利化に従事していた頃、上記のグーグルによる買収の話は仲間内で大きな話題になり、関連記事を読んでいた担当者の周りにみんなが集まってきたのを覚えています。それくらい、特許、すなわち自分達が日々従事している特許がお金になるかもしれない、という話はメンバーの士気を高めるのです。

 

2.特許による参入障壁で自社事業を守れている可能性がある

 これは特許の役割としてよく述べられている話です。しかし現実には、自分達が権利化に関与した特許がどの程度、自社事業に対する参入障壁になり他社を排除できたかを見える化するのは難しいです。定量的な算出はもちろん、定性的にもうまく証明できていないのが現状です。よって自分達の仕事が事業の役に立っている実感を持てていない知財部員も大勢いると思われます。

 上記の通り、自分達の周辺でこのような事例を探すことは難しいです。では、どうするか?、ごくたまにですが、当該企業自ら、他社の特許網によって新規参入が難しかったことをメディア等で吐露する場合がありますので、これをネタにするのがいいと思います。

 私が知っているのは、サントリーの幹部の発言です。一時話題になりましたが、ヘルシアで、花王が飲料分野に新規参入してきた際、以下の記事によると、サントリーも同様にメタボ対策飲料についてリサーチをかけたものの、花王の特許網に阻まれ、市場参入を断念したそうです。

「動的」知財マネジメントが円盤型市場を切り開く (2/2) - MONOist(モノイスト)

 知財部マネージャーは、上記のような例を示すことで、直接的に証明できないものの、自分達の業務が事業活動に貢献可能なものであることを説明し、メンバーの士気を高めることができるのです。

 

<本日のまとめ>

 知財業務そのものにメンバーが意義を見出すことができない場合(特に若いメンバーがこのような悩みを持つことが多いと思いますが)、管理職としてはこれらのメンバーのモチベーションを上げ、意欲的に業務に当たれるよう、対策を講じなければなりません。

 そのような時には、以下の内容を具体的なエピソードとともにメンバーに語りかけてもらえればと思います。

 

1.特許がお金になることがある

2.特許による参入障壁で自社事業を守れている可能性がある

 

 今日の内容は以上です。

 最後まで、お読みいただきありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

知財部員が直面しがちなキャリア上の危機とその解決方法

 私は、以下のような経験を持つ、企業知財部勤務の弁理士です。

 

・研究開発部門で経験があることを強みとして、意気揚々と自分で手を挙げて知財部に異動したところ、自分がやったことがある内容はごく一部で、他は全く未経験の技術領域が担当であることを上司から告げられ、途方にくれる。

・新しい技術内容にもようやく慣れたころ、ある研究者から「担当してくれてよかった」と言われて舞い上がっていたが、技術スキルではなく研究者に厳しく言わない点を評価されたと後で知り、愕然とする。

・知財担当者として事業部を跨ぐ異動をし、これまでと関連性のない技術の担当となった際、研究者から技術知識の無さを指摘され、舌打ちされる。

 

 今、思い出しても、当時の不甲斐なさが蘇り、冷や汗が出ることがあります(笑)。私は、周囲の人から「焦ってないように見える」「悩みがない」などと言われることがよくあったのですが、上記を経験していた時期は正直、精神的に大変でした。

 

 しかしよく考えると、自分にとってきつかった上記の経験の背景には、ある共通の原因があったことに気づきます。そう、それはこれまで経験のない新しい技術を担当することになった時など、他の人(主には研究者)が理解している内容を自分は理解していない、ストレートに言うと「落ちこぼれ」の状態になって挫折感を味わっている、と言うことです。

 

 企業知財部で勤務された経験のある方はご存知かと思いますが、知財部は、通常いくつかの研究Grに1人の知財担当者を置ける程度の人的リソースしかないため、場合によっては研究者数十人分の内容を1人で担当するケースも少なくありません。

 

 アサインされた研究内容の技術バックグラウンドが似ている場合はともかく、例えば装置開発Grなら、回路、プロセス、メカ、ソフトの研究者がいずれも同じGrの所属であったりします。そうすると、技術背景の異なるこれらすべての発明内容を理解しなければなりません。そもそもの自分のスキルレベルの問題もあったと思いますが、これは結構大変なことでした。

 

 一般的に日本企業では、多くの人が、入社以来、何回かの異動を経験することになると思います。また、より成長できる、あるいは条件のいい職場を求めて転職するのは当たり前と言われて久しくなりました。

 よって知財部員のキャリアにおいても、新しい業界での勤務や、未経験の技術内容を担当する機会があるのがむしろ一般的であると思います。

 そうすると上記私が経験したような状況は誰でも起こりうる、知財部員が直面しがちなキャリア上の危機と言っていいかもしれません。

 

 そこで今回は、知財部員が不幸にして上記のような状況に陥った際、どのようにしてその危機を乗り越えればいいか、その具体的な解決方法について、私の経験から言えることをお話ししたいと思います。

 

 意識すべきことは以下の3つです。

 

1.話ができる人を探す

2.どんな小さな分野でもいいので自分が貢献できる領域を探す

3.いったん退いて、再挑戦する

 

 1つずつ詳細を説明していきます。

 

1.話ができる人を探す

 自分の技術知識不足で発明内容をうまく把握できない時などは、ともすれば研究者全員が自分にとってのストレッサーであるかのように見えてしまいがちです。しかしそんな時こそ、よく周囲を見回すべきです。知財担当者の知財知識・経験を頼りにしてくれたり、快く技術内容を説明してくれるタイプの研究者も必ずいるはずです。焦って視野を狭くせず、ぜひ「このような人」を発明者側に探してください。首尾よく見つかったら、「このような人」を大事にしつつ、遠慮なく質問して自分の技術レベルをアップしましょう。最初は少し気が引けますが、短期間集中的にお世話になり技術的にキャッチアップすることで、結局、「このような人」に対しても早くいい結果を返すことができます。

 

2.どんな小さな分野でもいいので自分が貢献できる領域を探す

 特に発明発掘や中間処理などの出願系業務では、法律知識や知財実務知識よりも、技術知識の方がインパクトが大きいことがよくあります。このような時に、技術知識が不足していると十分な貢献をすることができずに落ち込んでしまいます。

 しかしここでもよく状況をみてください。事例は少ないものの、知財実務上のレアケースについて相談されたり、進歩性判断について質問されたりするケースもあるはずです。要は、自分が全く貢献できてない訳ではないことは認識していいと思います。

 またこのような場合、調査業務などに活路を見出すことも一つの手です。出願系知財部門であれば、調査業務はサブ業務と思われてしまいがちで、研究者自らも調査をすることを求めらるので、存在意義を出せないと思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。研究者が調査する場合、特許分類を使いこなしている人はそう多くいませんので、このような点にフォーカスすることで、技術知識に弱いところはあっても、例えばより漏れの少ない検索式を作成して貢献するなど、研究者に「居てほしい人」と思わせることは可能です。

 

3.いったん退いて、再挑戦する

 上記1.2.によっても、やはり状況は改善されずメンタル的にも辛いものがある場合は、いったん退却を考えるのもありです。すなわち当該技術分野の担当を一度離れる、もしくは状況によってはGrや部署を変わっても構いません。

 ある程度社会人としての常識があればできる仕事や、閑職にひとまず異動した上で、もし今まで担当していた、ついて行けなかった技術分野でのキャリアに相当のメリットがある(ライセンス活動が活発であったり、将来有望な技術で今理解を深めれば次に繋がるなど)のであれば、当該閑職をこなしつつ、オフに勉強して知識をつけた上で、もう一度再チャレンジすればいいと思います。

 正直、自分が悩んで居た頃は、体面などを気にしてなかなか閑職に退くことに抵抗がありました。しかし、今、同じ状況になれば、場合によっては年単位で暇な仕事につくことにも抵抗はありません。

 後になって経験したことですが、自分のスキルレベルに対して少し余力のある業務に就くことは、本当にメリットが大きいものです。精神的な余裕が生まれ、難易度の高い技術の習得にも挑戦しようという気になります。

 実は私にとっては今がそのような状況で、だからこそ前の記事(社会人が大学院に通うことを勧める理由 - 知財自在)に書いたように社会人大学院に通うなど、通常では続けることが難しい自己啓発にも取り組むことができていると思っています。

 

 以下、本日のまとめです。

 経験がない技術分野の知財担当になることは、大手企業の場合、一定の年齢以上になっても十分に起こりえることです。その時、周りの人は分かっているのに自分はわからない、すなわち「落ちこぼれ」の状態となり、かつて小学校や中学校で勉強がわからないと嘆いていた同級生の気持ちが初めてわかった、という人も少なくないと思います。

 このような時にどうすればいいか?、解決策として、ぜひ以下を試してみてください。

 

<本日のまとめ>

1.話ができる人を探す

2.どんな小さな分野でもいいので自分が貢献できる領域を探す

3.いったん退いて、再挑戦する

 

 以上です。

 

 

 

 

 

 

 

転職を考えている知財部員が候補企業を見る際のポイント

私は、40代前半の時、企業知財部に在籍しながら転職活動を進めた弁理士です。

 

振り返ると、当時は研究開発部門から知財部に異動して4,5年であったことから、まだまだ経験が浅く、知財業務自体を一括りに捉えていました。

すなわち転職候補の求人票を見る際も、研究所や事業部など現場の知財部と、本社の知財部を区別して考えていなかったり、ライセンスも出願も同じ知財業務なのだからそこから得られるスキルもそれほど変わらない、といった誤った認識を持っていました。

しかし自らも転職をしたり、他社知財部の方と交流する中で、転職を検討している知財部員が転職先(他社の知財部)について、事前にチェックしておいた方がいいと思える点がより見えてきました。

そこで、以前の記事(転職を考える知財部員が今の職場でやっておくべきこと - 知財自在)では今の職場でやっておくべきことを述べたのですが、今回は、転職する際に候補企業を見るべきポイントについて述べたいと思います。

 

本日の内容は、以下の3点です。

1.本社の知財か、現場(研究所や事業部)の知財担当か?

2.  ライセンス業務の機会があるか?

3.  どの程度、業務が分割されているか?

以下、詳細を説明します。

 

1.本社の知財か、現場(研究所や事業部)の知財担当か?

いわゆる大企業は、本社の知財部門(本社知財)以外に、各事業部・研究所にも知財担当者あるいは知財部門(現場知財)を置いている場合があります。

本社知財は本社の一部門になりますので、勤務地は都内など街中が多く、現場知財は、メーカーであれば、研究所や事業所のあるところになりますのでの田舎が多いです。

また業務でいうと、本社知財は、「戦略をやるんだ」といっている企業は多いです。戦略といえば聞こえはいいですが、それが具体的にはどんなものかは曖昧で、実質は管理業務のみ、すなわち代理人の評価や、全社統一の知財業務手順の策定などを行なっているところが多いと思われます。よって業務はそれほど大変でなく、残業も少ない、ワークライフバランスを取りやすい部門です。よって育児や介護などの事情を抱えている人にはいいのですが、実務スキルを身に付けたい若い人には、向かないように思えます。

一方、現場知財は、研究者や事業部の技術者が提出した発明案を権利化する、というのがメイン業務になります。よって発明発掘と出願、特許調査、中間処理など典型的な知財業務を一通り学べるのが最大のメリットです。特に事務所出身者は発明者と直接議論し合う機会が多くなる点に魅力を感じる人が多いようです。

勤務時間については、期末などの出願が集中する時期を除けば残業もそれほど多くなく自分の時間も確保しやすいと思います。この点は本社知財と大差ありません。一方、現場に近い分、発明者に対して嫌なこと(先行文献と差別化が難しく権利化断念、事業に貢献しないので年金支払い停止など)も直接言わなければならないなど、精神的にタフな状況がより多い点が懸念点です。

 

2.ライセンス業務の機会があるかないか?

 別の記事(知財部員の社内での地位向上 - 知財自在)でも書きましたが、ライセンス業務は稀少性が高い上、技術スキルもさることながら知財スキルの重要性も高く、知財部員が発明者と対等以上に活躍できる数少ない場面です。また活動の結果、他社からライセンス料を取れたとなると会社の利益に直接貢献しますし、自分たちが苦労して権利化した特許がお金になる手応えを感じ、知財部員、発明者とも大いに士気が上がります。

 このように実りの多い業務(とはいうものの、ライセンス料を取ってくるのは極めて難しいですが)なので、転職を考えるのであれば、ライセンス業務に関与できる知財部を選択すべきです。

 大企業の本社知財であればライセンス部門は必ずあると思います。ただし企業によってはライセンス業務は法務部門の仕事となり、知財部門は関与できなくなっている場合もありますので注意が必要です。

 また大手メーカー系列の知財関係会社も最近よく見かけますが、これらの会社のほとんどは出願・調査業務しかやっておらず、ライセンスは親会社の知財部門・法務部門が直接対応する場合が多いです。よってこれらの企業への転職もよく考える必要があります。

 

3. どの程度、業務が分割されているか?

 候補企業の中で、知財業務がどの程度細かく部門分けされているか?は、非常に重要な要素です。大まかに分けても、出願、調査、ライセンスと3つの部門があると思いますが、これら3つの業務は密接に関連し合っているので、各々の経験が別の業務に活きます。よってこれら全てを自分で担当できるところが望ましいです。

 比較的経験の浅い人であれば、中規模のメーカー知財はオススメです(中規模以下のところは知財部がないところが多い)。これらの企業では、知財部の規模も小さく人的リソースの余裕もないため、1人の知財部員が多くの役目をこなす必要があります。よってうまくいくと出願、調査、ライセンスの全てを経験する可能です。

 また大手企業であれば、業務単位でなく技術単位で担当者を配置する知財部があります。この場合も、特定の技術において、出願・調査・ライセンスと全ての経験ができる点が、業務単位で区切られた会社よりも恵まれていると思います。

 

<本日のまとめ>

本日は、転職を考える知財部員が、自分の市場価値をあげる業務経験を積める会社かどうか?の視点から、候補企業のチェックポイントとして、以下の3点をあげました。

 

1.本社の知財か、現場(研究所や事業部)の知財担当か?

2.  ライセンス業務の機会があるか?

3.  どの程度、業務が分割されているか?

 

特に若い人の場合は、年収も気になるとは思いますが、自分の将来にとって役に立つ経験が積めるか?という観点から、上記を意識して求人票チェック、面接での質問をしてもらえればと思います。

 

本日は以上です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究・開発経験のある知財部員が意識していること

 私は、研究・開発業務を約10年経験した後、希望を出して知財部に異動し、知財業務に従事して約10年の弁理士です。

 

 かつて知財業界は、研究・開発や技術部での業務を経て異動してくる人がほとんででした。しかし最近では新卒者の配属先として知財部があり得るなど、知財業務専従できた人も出始めています。

 知財業務には技術知識がマストであることを理由に、研究・開発業務経験のないメンバーに否定的な意見を述べる知財部員もいます。が、私はそのようには思いません。事実、前の会社で上司だった人は、研究・開発業務の経験こそありませんでしたが、長く一つの技術を担当していたことから技術理解力は高く、知財実務の知識も豊富で、部下や研究者から慕われていました。

 一方で、研究・開発業務経験があるからこそ発揮できる業務上の姿勢や進め方があるのも事実と考えています。

 そこで今回は、これらの研究・開発業務経験のある知財部員だからこそ持っているものについて、私が感じるところを提示したいと思います。

 

 内容は以下の3つです。

1.研究者・開発者から提出された発明案を大事なものとして扱う。

2.研究開発の目的や事業化について、曖昧な要素があることを理解する。

3.研究開発部門と知財部門の立ち位置を理解した上で、言いにくいことも指摘する。

 それぞれ、詳細に説明します。

 

1.研究者・開発者から提出された発明案を大事なものとして扱う。

 以前にも書きましたが、研究者から提出された発明案を「レベルが低い、誰でも思い付く」などとバカにしたり、「こんなの使えない」と批判するのみで、自分からは何も提供せず、研究者から煙たがれる知財担当者がいます。

 自分に経験があれば分かるのですが、研究者・開発者にとって知財活動に取れる時間はそれほど多くありません。”技術が分かっている人”として、自身の開発業務以外に、装置の導入・管理、開発技術の事業化、役所への申請書類(規制薬品を使うとか)まであらゆる業務を、研究者・開発者は割り振られます。そんな中、彼らは何とか時間を確保して知恵を出し、発明提案書を提出してきている、というのが現状なわけです。

 この時点で、知財部員は私も含めまだ何もしていません。要は、出願系の知財部員の仕事は研究者・開発者の提案があってはじめて成り立つ、ということになるわけです。

 このような立ち位置を理解すれば、作家に対峙する編集者のように、研究者・開発者のモチベーションを上げつつ、自らも協力して活用できる権利に持っていくこと、が知財部員にとって必要な姿勢であることすぐに分かるはずです。

 研究開発業務の経験のある知財部員は、研究者の苦労、置かれた状況が理解できるため、たとえ使えなそうも無い発明案であっても、調査など自らも手を動かしながら、当該発明案の修正ポイントを提示し、より使える権利に持って行こうと努力する傾向にあります。

 この点は、当該経験のない知財部員と差が出やすい点であり、このような姿勢は研究者からも支持されることが多いです。

 

2.研究開発の目的や事業化について、曖昧な要素があることを理解する。

 特に調査業務に従事する一部の知財部員に見られるのですが、侵害予防調査などで、調査対象となる出荷予定の自社製品の仕様がはっきりと定まらない状態で調査依頼が来た場合などに、「製品がどんなものかまだ決まらずに調査なんかできるか!」と言ってキレる担当者がいます。

 侵害予防調査を行う側の立場から見れば、調査対象製品の仕様が決まっていない状態で適切な調査はできない、という認識は正しいです。しかし調査を依頼してくる研究者・開発者(この場合は事業部が多い)からすれば、製品の仕様は直前までお客さんや生産現場の事情などで変更になることがあり得る、一方で製品出荷する以上、侵害予防調査はしなければならない、という板挟み状態であるのが実情な訳です。

 研究・開発業務経験者はもちろんこのような研究者・開発者の立場を理解しています。よって当該経験のある知財部員は、調査仕様において曖昧な部分があっても、そのような状況では侵害予防調査として一定の限界があることは説明しつつも、どこを落とし所に調査をすべきかを自ら提案する、といった姿勢で、業務に取り組むことが多いです。

 このように研究者・開発者の置かれた立場を理解して柔軟な対応をする傾向がある点も、当該経験のある知財部員のいいところです。

 

3.研究開発部門と知財部門の立ち位置を理解した上で、言いにくいことも指摘する。

 上記1.2.で指摘したように研究者の状況、心理は十分理解する必要があります。モチベーションアップの為に、しょぼいと思える提案も否定せず、むしろこちらから方向性を提示することも必要です。

 しかし一方で、世の中は世知辛いです。研究開発部門と知財部門という立場や役割が異なる部門同士が協力しあえる、分かり合える、ということはほとんどありません。むしろ対立関係にあるのが普通、とさえ言えるかもしれません。

 なぜなら知財部門は事業に役立つ権利を取得するというが最大のミッションであり、使える権利を取得するために発明者のモチベーションをあげていい関係を築くことを部分的に諦める必要がある、つまり対立を承知で嫌なことを言わざるを得ない場合もあるからです。

 と言うことは、研究開発部門と知財部門は、根っこのところで理解し合う、完全にお互い協力し合う関係になることは難しい、ということですが、この点も、研究開発部門と知財部門の両方を経験した知財部員は理解できていることが多いです。

 よって発明者が、自身の実験などで時間がない中、苦労して発明案を完成させたことが分かり心情的にはうまく出願に持って行きたい場合でも、当該発明案からどうしても事業に役立つ、すなわち自社製品をカバーしたり、ライセンスに使えたりする特許を作れそうになければ、当該発明提案を却下することも、研究開発業務経験のある知財部員は厭いません。

 もっとも、この決定を発明者に伝えるのは勇気がいります。せっかく発明者と、作家・編集者のような関係になっていても、発明者が怒って一気にやる気をなくす場合もあります。

 しかし、これを恐れる訳にはいきません。この場合、言い方はもちろんありますが、躊躇せず、却下を発明者に伝えるべきなのです。これをしないとその知財担当者は結局発明者に舐められ、彼らにとって都合のいい人で終わるでしょう。

 この点は、上記1.2.と矛盾するかのような内容ですが、最も重要なことです。

 

<本日のまとめ>

 研究開発業務経験のある知財部員であるがゆえに、業務でうまく対応していると思われる点として、以下の3点を本日は紹介しました。

 

1.研究者・開発者から提出された発明案を大事なものとして扱う。

2.研究開発の目的や事業化について、曖昧な要素があることを理解する。

3.研究開発部門と知財部門の立ち位置を理解した上で、言いにくいことも指摘する。

 

 繰り返しになりますが、本日の内容は、研究開発業務経験のある知財部員がそうでない知財部員より優れている、あるいはそのような経験が必須である、と言っているのではありません。

 しかし今日紹介したような、研究開発業務経験に基づく業務上の姿勢や進め方は、知財部員として有利な要素の一つであるとは思いますので、当該経験の有無に関わらず、知財部員の方には、ぜひ今日の内容を業務に役立ててもらえればと思います。

 

 本日は以上です。

 

 

 

 

知財部員が業績評価を上げる方法

40代の非管理職から、転職して1年で昇格・年収増を実現できた、知財部勤務の弁理士です。

 

このブログを読んでいただいている方の中には、日々スキルアップのための勉強や、よりレベルの高い業務を行うための行動を頑張っているのに、なかなか昇進やいい業績評価につながらず、モヤモヤを抱えているという知財部員もおられると思います。

私自身は研究開発業務を経て、30代半ばに自らの希望で知財業務に従事しましたが、研究開発部門、知財部門のいずれでも、20代、30代のうちは全く目が出ず、前の会社ではその他大勢の評価に甘んじていました。

しかし40代に差し掛かるあたりから(転職もしましたので)、以下を意識したところ、最初は少しずつですが、周囲の評価が好転し始め、最終的には直属の上司に気に入られ、上述の通りいい評価をもらうことができました。

そこで今回は、自発的に勉強するなど、スキルアップを頑張っているのに認められてないと感じる知財部員が業績評価を上げるにはどうすれば良いか、私の意見を以下に示したいと思います。

これまでの経験から効果があると言えることは、以下の1点です。

 

○上司(会社)をクライアントのように考える

 

事務所のように明確なクライアントがいたり、あるいは定量評価できる売り上げがある知財部はほとんどありません。よって知財部員は、”上司には嫌われているがお客さんからは評価されている、あるいは売り上げを多くあげている”、というアピールのしようがありません。

そうすると当たり前ですが、直接仕事を依頼・結果をチェックしている上司の印象がそのまま業績評価になってしまいます。

よって認められ、収入を上げるためには、中々受け入れることは難しいのですが、上司をクライアントと捉える、それが無理なら(実は、私もそこまでは無理なのですが)、せめて上司の依頼には全力で応え、また仕事を頼みたいと上司に思わせようと努力することが必要不可欠となります。

今、自分が上司の立場になって振り返っても、20代、30代の頃は自分のスキルをどう上げるかばかり考えていて、上司や会社の期待に応える、という意識が欠落していたように思います。

アサインされた仕事に対して、成長につながらない、スキルが上がらないなどの不満ばかりを述べ、あたかも自分がお客で、自分の成長のための教育を提供するサービス業者が上司、であるかのような言動を当時はしてしまっていました。

しかし30代の後半になっても一向に芽が出ない自分に嫌気がさし、というか俺は評価なんて気にしないと言いながら、実際は同期の昇進に一喜一憂していた状況を変えたいと思い、なぜ業績評価がその他大勢になるのか?(自分としては提案型で業務をし、自己啓発にも熱心に取り組んでいるのに)を冷静に分析してみた、つまり認められることが早かった同期、先輩と自分の行動を比較してみたのです。

すると、彼らはスキルアップやいわゆる意識が高い行動にも少しは取り組むものの、むしろあまり深く考えずに、素直に上司の言われたこと、会社で決まったことを受け入れ、すぐに行動に移していた点(例えば会社で支給された格好良くない作業着を文句を言わず活用する、多くの社員が面倒だと感じる情報セキュリティの確認手順書が発行されても、すぐにその内容通りの確認を行うなど)が、私と決定的に異なることが見えてきたのです。

要は、スキルや専門知識のような職業人として本質的な内容でなく、会社や上司に対する普段の態度、素直さのようなものが業績評価上の大きな差になっているように、私には思えました。

そこで私は転職して会社が変わったことを好機に、上述した早く認められている人がやっていることで自分はできていなかったことを実直に実践してみました。

具体的には、前の職場と比べて遅れていると感じても、今の会社や部署のルールをまずは不満を言わず受け入れ、他の転職者よりも早くにそのやり方を身に付けるようにしました。

また上司の期待に応えるべく、上司が決定したことに異議を唱えることを最小限にとどめ、賛成を大きな声で伝えるとともに、決まったことをすぐに実行に移しました。

 

するとどうでしょう?

前の会社では考えられなかったような、いい言葉(評価される言葉)を上司や周囲からもかけてもらえるようになり、スキルスキルと言っていた頃よりもはるかにスキルアップに繋がりそうないい業務にもアサインしてもらえるようになりました。さらに上述の通り、比較的早いタイミングで上司が引き上げてくれ、結果、収入アップにもつなげることができました。

 

私のごくささやかな成功の全ての原因が上述の意識をしたからではないと思いますが、重要な一要因にはなったと確信していますので、今回は上記の話をしました。

私と同じような境遇でお悩みの方はぜひ試してみてもらえればと思います。

 

<本日のまとめ>

知財部員が、高い評価を勝ち取るには、スキルや意識の高い行動よりもまずは、

 

上司(会社)をクライアントのように考える

 

を意識してみてください。

自分に対する周囲の態度に、何らかの変化を感じられると思います。

 

本日は以上です。