知財自在

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弁理士試験受験生が知っておくべき、知識定着までの勉強回数

7年くらい前に、3回目の受験で弁理士試験に合格した企業知財部に勤務する弁理士です。

 

今の職場でも何人か弁理士を目指しているメンバーがいます。

自分が苦労して合格した試験に、同じ志を持って自分より若い人が挑もうとしている。何とも言えない嬉しさがありますし、何とか役に立つことを言ってあげよう、と頼まれた訳でもないのに、つい考えてしまいます。

 

上記のような考えに耽りながら、自分の受験生時代を思い出していました。私は、予備校に通っていたので、勉強のやり方自体を迷うことはありませんでした。一方で振り返ってみると、そこでは話しが出なかったものの、あの頃に聞いていればもう少し余裕を持って勉強できたのに、と思えることがやはりありました。

 

そこで今回は、予備校では中々言ってくれないものの、これから受験に挑もうとする人、あるいはすでに受験勉強中の人の多くが持っているであろう悩みを解決するために、最も重要と思うことを1つだけ述べます。

 

当時の私と同様、多くの受験生は一言でいうと以下の不安に直面していると思います。

 

それは、

1つの条文の要件などを暗記して一応のアウトプットができたので、次の条文に取り掛かった頃には、前の条文の要件等を忘れている、

要するに、どれだけ勉強してもどんどん前にやったことを忘れていくので、こんな状況で試験当日を迎えても、とても合格できるとは思えない、

というものです。

 

この不安を解消するために知るべきことは、つまり、具体的にはどのくらいやれば、知識は定着するのか?、ということです。

 

一般的に、どんな苦しい状況でもそれが有限であり、定量的にここまで頑張れば今のしんどい状況は終わると分かれば、頑張り続けることはできます。

例えば100回答練を受ければ合格できるところまでいくと言われれば、100回は確かに多いですが、有限である分、このような基準が全くない場合よりも、全然、楽に感じられます。

 

そこで、あくまで私の経験に基づくものですが、知識の定着まで具体的に何回勉強を繰り返せばいいかを以下に示したいと思います。

 

それはズバリ、

 

3回

 

です。

 

より具体的には3回条文を回せば、合格を狙えるくらいに知識が定着するということです。

ここでいう条文を回すとは、要件など覚えるべき事項をインプットした後、法文集を伏せるなど何も見ない状況で、覚えたことを紙に再現できるかを確認する。再現できていれば当該条文は一応完了したものとして、次の条文に移る。これを少なくとも主な条文について一通り行う。

このようにして特許法なら特許法全体の条文を完了させた状態を1回回すと定義すると、これを3回やればインプットとしては大体問題はなくなる、ということになります。

あとは1ヶ月前、1週間前などの直前期に再度、苦手なところを中心に見直す、で勝負することができます。

よって次回の短答試験を受けられる方は、来年の4月の終わりまでに少なくとも特・実・意・商とパリ条約について”3回回す”を終えられるよう勉強のスケジュールを組んでもらえれば、今の段階でいかに覚えていたことをどんどん忘れてしまうとしても、試験当日には合格を狙えるレベルまでいけると思います。

 

いかがでしょうか?上記を読んだことで、やるべきことのボリュームが明確になり、勉強のモチベーションが上がったのではないでしょうか?

 

受験に限らずどんなことでも、具体的に数値でゴールを設定することで達成までにどんな時間配分で何をしていくか?などの段取りが格段に組みやすくなり、その分、ゴールに到達する可能性が高くなります。よってその他の分野でも今回のような数値基準を設けることを意識してみてください。

 

<本日のまとめ>

改めて言いますが、弁理士試験の勉強において知識の定着に必要な勉強回数は、

 

3回

 

です。

 

受験生の皆さんの合格をお祈りしています。

今回は以上です。

 

転職を考える知財部員が今の職場でやっておくべきこと

40代前半で、別の会社(2社目)の知財部に転職した弁理士です。

 

知財業界は、企業知財部と特許事務所というタイプの異なる2つの職場がありますので、元々、人の移動が活発です。また最近はどこの業界も人手不足で、知財関連も転職は活況と言われています。

よって知財部員の皆さんの中には、自分も将来、あるいはすぐにでも転職したいと考えている方もおられるのではないでしょうか?

 

今日はそのような方のために、知財部員が転職した際、新しい職場で役立つことで、今の職場(知財部)で経験しておいた方がいいと思うことを挙げてみました。

 

それは、

1.ライセンス業務

2.調査業務

3.発明発掘で発明者から指名された経験

の3つです。

以下に順を追って説明します。

 

1.ライセンス業務

ご承知の通り、企業知財部の業務は今も出願がメインのところが多く、ライセンス業務は案件自体あまりありません。逆にいうとそれだけ希少価値が高いということです。よって今、ライセンス業務に従事中という方はその状況を大事にされるべきです。

また、案件自体が少ないのだったらライセンスの経験はあまり役に立たないのでは?と思われる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。

ライセンス交渉で自社特許(自分が権利化に関与した特許であればなお良い)について相手先から厳しい反論を受けた経験は、出願時にどんな明細書を書けばいいか、についての有力な示唆を与えてくれるのです。

知財部経験者や事務所経験者が「いい明細書が書ける」と言っていてもそれらは実際にライセンスや訴訟などに使った経験がないまま、出願や中間処理の経験や知識のみに基づいて「いい明細書」と言っている可能性があります。

よってこの経験は、転職先で出願系業務をやるとしても、強力な武器になります。

 

2.調査業務

調査業務については、事務所経験者に実務経験のない人が多いです。また企業知財部経験者でも、「技術を一番良く知っている者がやるべき」と発明者に丸投げしてしまっているケースがよくあります。よって調査業務の経験を持った上で別の知財部に転職すると、それだけで周囲のメンバーに対する優位性になり得ます。

また明細書作成や中間処理を事務所に外注している知財部の場合、発明者から、知財部員は単に取次をしているだけで何もやっていないと思われてしまいがちです。しかし調査業務については、事務所は基本やりませんし、検索式検討から結果のレポート作成まで、すべて自分で行います。よって研究所など発明者サイドから自分の働きが認知されやすくなります。

その上で調査結果に基づくクレーム案まで提案できるようになれば、出願のためのコンサル業務を行なっていることになり、さらに評価されるようになるでしょう。

 

3.発明発掘で発明者から指名された経験

出願系知財業務に属する内容のため、多くの知財部で一応やってることになっているかと思います。よって別の企業の知財部に転職しても、発明発掘業務の経験者は大勢います。なので、経験しているというだけでは不十分です。

一方、この業務は、知財担当者間で差が最も出やすいものの1つです。発明者から提案書が出てくるまで何もせず、提案書が出てくると「これは特許にするのは難しい」などとダメ出しのみをして(ダメ出しをすること自体は時には必要ですが)、「早く次の提案書持ってきて」と相談に来た発明者を追い返す、どこの知財部でもこんな担当者が一定数はいます。

このような状況ですので、例えば提案書が出てくる以前の段階、すなわち研究部門の進捗会議などに知財担当者として出席して、発明になりそうな報告が出たら権利化を促したり、2.で述べた調査業務と合わせて提案書に書かれた発明案に対して先行技術を回避した上で権利化できそうな修正案を提示する、などの提案型の業務を行う担当者は、いい意味で目立ちます。

その上でこのような活動を半年、1年と続けると、そのうち発明者側から、「・・・さんに担当してほしい」という声が聞こえて来ます。こうなればしめたものです。

このような指名を受けることができれば、知財担当者としての自分に大きな自信が持てます。この自信が、新しい職場でも大いに活きてくるのです。

 

<本日のまとめ>

現在の職場での評価に不満がある、もっと収入を上げたい、知財部も企業の一部門である以上、多くのサラリーマンと同様、このような理由で転職を希望する人も多いかと思います。

しかし転職は始まりであり、移った先の新しい職場で活躍しないことには意味がありません。知財部での業務は比較的会社によって差が大きく(例えば明細書を内製するところと外注するところでは、求められるスキルが大きく異なる)、条件に惹かれて転職したものの、新職場で自分の実力が通用せず、挙句に軽んじられ、居場所がない、となると大変です。

そこで事務所出身者や他の知財部出身者もいると思われる転職先で、有利になると思われる、今いる知財部で経験しておくべきことを3つ上げました。

 

1.ライセンス業務

2.調査業務

3.発明発掘で発明者から指名された経験

 

自分のやることを自分で完全にコントロールすることは難しいですが、できるだけ上記3つを経験できそうな業務に自分から絡んでいって下さい。

 

本日は以上です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知財部員と特許事務所との間の良くない雰囲気を変える方法

前職では出願メイン(一部ライセンスもあり)、現在は調査・分析業務がメインで、マネージャーをしている、知財部に勤務する弁理士です。

 

最近はIPランドスケープという言葉が流行ったり、標準必須に関する知財業務など、知財部員・弁理士の業務の幅も広がりつつあります。

とはいうものの、やはり業務のメインは出願・権利化、という知財部員の方も多いと思います。事実、知財関連の求人を見ていても出願関連が最も多い印象を受けます。

突然ですが、そのような出願業務がメインの知財部員の方、特に明細書作成や中間処理の応答書面作成を特許事務所に外注している企業の知財部に所属している方に質問なのですが、周囲で以下のような状況を見かけないでしょうか?

 

・事務所がいかに使えないかを愚痴り、自分がフォローしないと業務が回らないことを一部の知財担当者が盛んに喧伝している。また時々、電話で事務所担当者を怒鳴りつけている。

・独立クレームの補正に合わせて従属クレームも補正する必要があるにも関わらず、従属クレームはそのままの補正書案を出してくるなど、仕事へのモチベーションが下がっているとしか思えないミスを事務所担当者が連発する。

 

上記のように、一部ではありますが、知財部員と事務所担当者の間で、(知財部員)上から目線で威張り散らす、(事務所担当者)嫌な相手だけどお客だから、仕方ない、ハイハイと返事はして、適当に捌いておくか、みたいな空気が形成されているのを感じることが私は多くありました。

 

本来であれば立場は違えど、どちらも一応の知財のプロとして給与を受け取っているわけですから、相互のコミュニケーションをよくして、共に会社に貢献する(事務所担当者からすれば取引先に貢献する)活用できる特許の創出に力を合わせて欲しいところです。

しかし、上記のようなシチュエーションは前職でも、現職でもみられましたし、他社の知財部の方と話した際も、飲み会などでポロっと話に上がることがありました。

よって多くの知財部で(上述のように外注している知財部で)現実的に起こっている問題であると推定します。

 

そこで、本日は、このような知財部員と事務所担当者の良くない雰囲気を変え、両者が張り合ったり、極端な上下関係に陥ることなく、風通しを良くするにはどのような方法があるか、知財部の一マネージャーとして思うところを以下に示したいと思います。

私が考える方法は、次の2つです。

 

1.知財部員がメインで考える案件と事務所メインで考えてもらう案件を明確に分ける。

2.知財部員と特許事務所担当者間の人事交流を実現させる。

 

それぞれ詳細を説明します。

1.知財部員がメインで考える案件と事務所メインで考えてもらう案件を明確に分ける。

上述のような良くない雰囲気は、知財部員と事務所担当者が同じ仕事をしているから起こるものです。

刑事物のアメリカ映画の中で、ロス市警など地元警察とFBIが揉めているのと同様、得意分野が共通する二人が同じ案件について仕事をすると当然に揉め事が起こります。どちらも自分のやり方にメンツがかかっているからです。

これを解消するには、例えば基本特許となるような重要案件については明細書作成、中間処理の応答案作成は知財部員が自分達で行う、一方重要度が低い案件や主要国での応答が終わったファミリの非主要国の対応などは最終チェックくらいはするものの、基本的に事務所に完全に任せる、など知財部員と特許事務所担当者の役割を明確に分けることが、効果的かと思います(事実、前職ではこのような対応をすることで、事務所との揉め事が減ったように思います)。

 

2.知財部員と特許事務所担当者間の人事交流を実現させる。

例えば会社内で対立する2つの部門があった場合、双方の部署に兼務する担当者がいるだけで、対立は随分解消するのを見てきました(前職では調査と出願の兼務など、部門を跨いで業務をする担当者がいましたが、兼務制度のない現職より関連する部門間の対立は少なかったです)。

同じように、例えば事務所の担当者を知財部に駐在させることで(知財部員を事務所に駐在させるよりハードルは低いと思われる)、知財部員と当該駐在者との間では少なくともお互いに思ったことが言いやすい雰囲気が生まれ、対立は減少すると思われます。

 

<本日のまとめ>

知財部側が事務所側に高圧的な態度をとり、事務所側はこれを受け流すもモチベーションを下げている、企業知財部と事務所の一部の担当者間ではこのような雰囲気ができてしまっているケースが良くあります。

 

これを解消するには、

1.知財部員がメインで考える案件と事務所メインで考えてもらう案件を明確に分ける。

2.  知財部員と特許事務所担当者間の人事交流を実現させる。

の施策が有効かと思います。

 

本日の内容は、担当者というよりもマネージャーの方にぜひご確認いただければと思います。

今回は、以上です。

 

 

 

 

社会人が大学院に通うことを勧める理由

某企業の知財部に勤務する弁理士です。

 

数年前の話になりますが、私は、都内にある社会人大学院(情報系の内容も入った経営系)に在職のまま通い、無事、2つ目の修士号を取得しました(1つ目は22歳から24歳にかけて工学部(化学系)からストレートに進学した際のもの)。

さらに2020年4月から別の大学院の社会人博士(経営系の内容も入った情報系)に入学する予定です。

 

本日のタイトルにもありますが、中年の社会人が大学院に立て続けに通う意味、それは自分のコアスキルを補完するためです。

 

企業で一定期間以上勤務すると、自分のスキルの賞味期限がそれほど長くない、あるいは、他により興味を持てそうな分野がある、と感じることは、誰でも1度や2度あると思います。そこで今からでも新たなスキルを身に付けたい、しかし年齢などを考慮するとやはり難しいかも・・・、このような想いは多くの人が持っていることでしょう。

 

そのような想いを実現するための手段として、私は、社会人大学院に通うことをお勧めします。

理由は以下の3つです。

1.行く人が少なく希少価値を狙える上、きっちりと勉強した印象を与えられるので社内でも一目置かれやすい。

2.  学んだ内容にもよるが、転職機会が得られる可能性が高まる。

3.  時間・費用は意外と何とかなる。

 

以下にその詳細を説明します。

1.  行く人が少なく希少価値を狙える上、きっちりと勉強した印象を与えられるので社内でも一目置かれやすい。

世の中は、自己啓発ブームで仕事に関する本を読んだり、資格取得のために勉強している、という人は大勢います。しかし大学院にまで通う、という人は中々いません。

私の現在の職場には、知財関連業務のメンバーは、50人くらい居ます。あくまで話として聞いている範囲内ですが、その中で大学院に通っていたのは私1人だけです(資格の勉強をしている、あるいは過去にしていたメンバーは6、7人は居ます)。そのため、大学院で学んだ内容は、例えば弁理士試験で身に付ける内容と比べ、希少価値を発揮しやすくなると思います。

私が修士の学生として通った大学院は統計・データ解析を売りにした経営系の社会人大学院で、今流行りのAI・機械学習も少しかじることができました。そのためか、最近社内でトレンドになっているAI・ITを活用した特許業務効率化の打ち合わせなどにも、一応関連する内容を学んだ者として一目置かれ、出席を要請されることがあります。

このような結果は、自己啓発として単に公開セミナーに通った、あるいはWeb・本で独学で勉強した、という程度では得られなかったと思います。

やはり修士課程のような学校に短くない期間(2年間)通って、少なくとも研究活動をやり終える程度(私が通った大学院では修士の研究とそれに伴う修論作成も必須でした)の知識を身につけたと見做されたから得られたものと考えられます。

このように社会人が勤務後に通う大学院であっても、そこを修了した実績については、企業は一定の評価をしてくれる(もちろん給料がすぐに上がるとかではないですが)と思われます。

 

2.  学んだ内容にもよるが、転職機会が得られる可能性が高まる。

同級生約30名の中で私と同じ40代は10名くらい居たと思います。その内、2名が学んだ内容を活かして転職(知財コンサルやデータ分析関連の企業)したと聞いています。40代というと通常は求人数も限られてくる中、2割が早々に次の職場を決めたというのはすごいことだと思います。学んだ内容が今流行りの統計・データ解析に関するものとはいえ、やはり自分のこれまでの業務経験に新しい得意分野をプラスすることは、自らの人生の選択肢を増やすようです。

 

3.  時間・費用は意外と何とかなる。

ここまでこの記事を読んでくれた人の中には、「意味があることは分かったけど、時間・費用の面から自分には現実的でない」と思う方も多いと思います。しかし私の経験からすると、これらは意外と何とかなるものでした。

最近は、夜間・土日開講の大学院も多くありますし、中には国立のものもあります(私が通っていた大学院もそうでした)。よって時間的には、さすがに平日0日というわけにはいかないですが、平日2日くらい6時、7時に会社を出られれば、土曜日と合わせて、問題なく大学院を修了できる時間の確保は可能です。

また授業料については、私立なら2年間で300万とか言わてしまう場合もありますが、国立であれば2年間で130万くらいです。また長期履修制度を設けている大学院(修士課程で当該制度を設けているところは少ないかもしれません。博士課程では多く見られます)もありこれを活用すると期間は長くかかりますが、毎月の支払いは安く抑えられます。例えば4年間で修士を修了する場合、国立だと月の支払いは2万代になります。もちろん普通のサラリーマンにはこれでも痛い出費ですが、全く検討できない金額ではないと思います。

 

<本日のまとめ>

新しいスキルを一から身に付けるのは、一定の年齢以降は難しいと思いがちです。しかし社会人大学院に通うことで可能性が高まると思います。これに意味がある理由は以下の通りです。

1.行く人が少なく希少価値を狙える上、きっちりと勉強した印象を与えられるので社内でも一目置かれやすい。

2.  学んだ内容にもよるが、転職機会が得られる可能性が高まる。

3.  時間・費用は意外と何とかなる。

 

本日は以上です。

 

 

 

 

知財部員の社内での地位向上

私は、某企業の知財部に勤務する弁理士です。

 

突然ですが、知財部で勤務されている皆さんは、社内で以下のような状況に陥ってないでしょうか?

これらはいずれも私が前職で見聞きした内容です。

 

 

・出願に際して発明者から技術説明を受ける際、バカにされる。

・費用をかけて出願して特許権を取得しても、それが使われることは滅多にない。よって自分達の業務が会社に貢献していると認識されない。

・出願書類の作成、手続きを事務所に外注している会社の場合、知財部員は取次をしているだけ、つまり自分たちでは何もしていないと見做される。

 

これらはいずれも知財部員の地位が社内でそれほど高くないことを物語っています。 表に出せるかどうかは別として、同じような悩みを日々抱えている方も相当数おられると推定します(他社の知財部の方との懇親会等で、同じような話が出るため)。

そこで今回、この状況を打破する方法として何が考えられるかを、知財部員の一人として、考えてみたいと思います。

可能性がある手法は以下の3つと考えています。

 

1.技術の専門性を上げる。

2.ライセンスで稼ぐ。

3.発明者ではできない価値あることをできるようにする。

 

順番に説明していきます。

1.技術の専門性を上げる。

これは誰もが考えることと思います。例えば研究開発部門で10年勤務後、知財部に異動になった人の場合などは、自分の専門分野の範囲であれば、若手の研究者よりも技術知識・経験が多いはずです。

そのような場合は、当該専門分野内で、できるだけ提案型の知財活動(発明者の案に対して単に特許にならない、と言うのみでなく、どのようにしたら権利化できそうかを一緒に考える)をすることで、研究者からも一目置かれ、自分の立ち位置が向上すると思います。

ただし新卒で知財部門に配属になった場合など、研究開発部門での経験がなく、自分の技術の専門分野がない場合(知財担当者として同じ技術分野を一定期間以上担当すると当該技術には詳しくなりますが、それでも発明者と同レベルの専門知識ということは難しいと思います)には、この手法は難しいと思います。

 

2.ライセンスで稼ぐ。

これはある意味で最強の方法です。知財部門は通常間接部門になりますので、自分達で利益を稼いではいません。よって利益部門である事業部と比較し、社内での地位は当然低くなります。

しかし知財部がライセンスで稼げているとなると話は180度異なります。この場合、知財部門は一気に利益部門となり、知財部員は大威張りで廊下を闊歩できるようになります。

ただし現実にはライセンス料を他社から獲得するのは大変です。私のこれまでの経験から、ライセンス料を獲得しようとすると訴訟も辞さない姿勢で交渉に臨む必要がありまました。そうすると訴訟してまでライセンス料を獲得しようという会社としての意思が必要になります。これは知財部門のみの努力では到底成し得ず、社長など経営トップの決断が必要です。そうなると個人の努力ではどうにもならないので、会社にその気がないなら、この手法を取るのは難しくなります。

 

3.発明者ではできない価値あることをできるようにする。

個人的には、これが最も実現可能性が高いと考えてます。例えば特許調査。IPCやFI,Fタームなどの特許分類を使いこなして漏れが少ない検索式を立てることは、発明者にとってやはり難しいです(特許分類や調査に関する知識が必要なため)。また今、流行りのAIやテキストマイニングを活用したツールなども、その原理を理解した上で特許調査、特許業務を効率化するなども発明者には出来ません(AIやテキストマイニングを開発している発明者でなければ専門知識を持っていない)。このような発明者が持っていない知識を用いて、発明者が価値を感じる内容(この場合は特許調査や、AI等による業務効率化)を提供する、というのは社内での地位向上に貢献します。またこれら業務で活用できる特許分類やAIなどの技術知識を得るのに、開発部門での経験など自分ではコントロールできない機会は不要で、自分で勉強した知識でも十分活用可能になるからです。

 

<本日のまとめ>

知財部員が、社内で存在意義を高め、自らの地位を上げる方向性としては、以下の3つが考えられます。

 

1.技術の専門性を上げる。

2.ライセンスで稼ぐ。

3.発明者ではできない価値あることをできるようにする。

 

このうち3.は、自分の努力のみで達成できる可能性が高く、最もお勧めです。

 

本日は以上です。